一次胆汁酸と二次胆汁酸の違いは?|腸内細菌が作り替える仕組み

一次胆汁酸と二次胆汁酸の違いは? ── 腸内細菌が作り替える仕組み 栄養素の読み方

肉や揚げ物を食べたあと、体の中で脂がどう消化されているのか、考えたことはありますか?

健康の話の中で、「二次胆汁酸」という言葉を見かけることがありますよね。でも、胆汁酸に一次と二次があると聞くと、何が違うのか分かりにくいもの。

そこで、今回は一次胆汁酸と二次胆汁酸の違いについてお伝えしていきます。

この記事では、2つの胆汁酸がどこで作られ、体の中をどうめぐっているのかと、ふだんの食事の脂や食物繊維がその流れにどう関わるのかを知ることができます。

一次は肝臓で、二次は大腸の菌が作る胆汁酸

一次胆汁酸と二次胆汁酸のいちばんの違いは、作られる場所と、作り手です。一次胆汁酸は、肝臓がコレステロールを材料に作る胆汁酸です。二次胆汁酸は、大腸までたどり着いた一次胆汁酸を、腸内細菌が作り替えた胆汁酸です。

人の体の一次胆汁酸は、主にコール酸とケノデオキシコール酸の2つです。これが大腸で菌に作り替えられると、コール酸からはデオキシコール酸が、ケノデオキシコール酸からはリトコール酸ができます。この2つが、おもな二次胆汁酸です。

胆汁酸は、胆汁の中で脂の消化を助ける成分

胆汁酸は、胆汁という消化液に含まれる成分です。まずは、胆汁のことからお話ししていきます。

胆汁は、肝臓で作られる消化液です。作られた胆汁の一部は、胆のうという袋にためられます。食べ物が小腸に入ると、ホルモンや神経の合図で胆のうが縮み、胆汁が小腸へ送り出されます。

胆汁の中の胆汁酸は、水に溶けにくい脂を、水と混ざりやすくする働きをしています。油と水は、ふつうは混ざりませんよね。胆汁酸は、脂を水と混ざりやすくして、細かな粒に分けます。こうして、脂肪やコレステロール、脂に溶けるビタミンを、腸から吸収しやすい形に変えて、消化を助けています。

一次胆汁酸の材料は、肝臓のコレステロール

一次胆汁酸は、肝臓でコレステロールから作られます。コレステロールは、体にとって胆汁酸の材料でもあるのです。

肝臓で作られた一次胆汁酸は、そのまま胆汁に出るのではなく、グリシンかタウリンというアミノ酸と結びついてから送り出されます。人の体では、グリシンと結びつく物が多く、グリシンとタウリンの割合はおよそ3対1と報告されています。

使われた胆汁酸の約9割は、肝臓へ戻る

小腸で脂の消化を助けた胆汁酸は、そこで使い捨てになるわけではありません。MSDマニュアルでは、胆汁酸の約9割が小腸の終わりのほうで吸収されて血液に入り、肝臓へ戻ると説明されています。

肝臓に戻った胆汁酸は、また胆汁に入って、小腸へ送り出されます。この「肝臓 → 小腸 → 肝臓」の行き来を、腸肝循環(ちょうかんじゅんかん)と呼びます。同じ資料では、胆汁酸はこの道を1日に約10〜12回めぐるとされています。体は、同じ胆汁酸を、何度も使い回しているのです。

大腸に届いた残りを、腸内細菌が作り替える

小腸で吸収されずに残った胆汁酸は、大腸へ進みます。ここで胆汁酸は、大腸にすむ腸内細菌に出会います。

腸内細菌は、2つの段階で胆汁酸を作り替えます。1つ目は、胆汁酸に結びついていたグリシンやタウリンを外すことです。これを行う酵素は、胆汁酸塩加水分解酵素(たんじゅうさんえんかすいぶんかいこうそ)と呼ばれます。酵素とは、物を分解したり、別の物に変えたりする働きをするたんぱく質のことです。2つ目は、胆汁酸の形の一部を変えることです。これによって、一次胆汁酸が二次胆汁酸になります。

二次胆汁酸を作れる菌は、大腸の菌のごく一部

この2つ目の作り替えができる菌は、大腸の菌の中のごく一部です。2017年の論文では、大腸の菌のうち、この作り替えができるのはおよそ0.0001%で、これまでの調べでは、クロストリジウムという仲間の菌に限られると説明されています。

つまり、二次胆汁酸ができる流れには、大腸にこうした菌がすんでいるかどうかが関わっているのです。

二次胆汁酸の一部も肝臓へ戻り、残りは便に出る

できた二次胆汁酸も、全部が便に出るわけではありません。デオキシコール酸は、大腸で吸収されて肝臓へ戻り、一次胆汁酸と一緒に、また胆汁の中でめぐります。一方で、リトコール酸は吸収されにくく、多くが便に出ていきます。

便に出ていく胆汁酸は、1日に約0.5gと報告されています。減ったぶんは、肝臓がコレステロールから新しく作って補います。そのため、胆汁酸が便に出て、肝臓がコレステロールから作り足すことは、体の中のコレステロールが毎日入れ替わる流れの1つにもなっています。

動物性の食事が続くと、便の二次胆汁酸が増えた研究

食事の中身を大きく変えたときに、便の二次胆汁酸の量が変わったという研究もあります。

アメリカの研究グループは、21〜33歳のアメリカの男女10人に、肉・卵・チーズでできた動物性の食事と、穀物・豆・果物・野菜でできた植物性の食事を、5日ずつとってもらいました。2014年に発表された研究です。その結果、動物性の食事の間は、便の中のデオキシコール酸が増え、アリスティペスやビロフィラ、バクテロイデスといった、胆汁に強い種類の菌も増えていました。

ただし、10人が、ふだんとは大きく違う食事を5日だけとった研究です。日本に住む人のふだんの食事で同じことが起きるかは、この研究だけでは分かりません。

β-グルカンが残ったオーツ麦のふすまで、出ていく胆汁酸が増えた研究

水に溶ける食物繊維をとったときに、胆汁酸の流れがどう変わるかを調べた研究もあります。

2007年に発表された研究では、小腸の終わりにストーマ(人工肛門)がある9人に、オーツ麦のふすまでできたシリアルを毎日とってもらい、3日ずつ中身を入れ替えて比べました。一方は、β-グルカンという水に溶ける食物繊維がそのまま残ったふすま、もう一方は、β-グルカンを分解したふすまです。その結果、β-グルカンが残ったほうでは、ストーマから出てくる胆汁酸が144%増え、胆汁酸が作られる量を表す血液の値も、とってから24時間のうちに57%上がっていました。

これは、小腸で吸収されずに出ていく胆汁酸の量を調べた研究で、体の調子がどう変わるかを確かめたものではありません。また、ストーマのある9人という少ない人数を、短い期間だけ調べた研究です。

ここ数日の食事の、脂と水に溶ける食物繊維を見てみる

ここまでの研究は、食べ方を変えれば体がこうなると約束するものではありません。まずは、ここ数日の食事に、肉や揚げ物など脂の多い食事がどのくらいあったか、オーツ麦や大麦のような、水に溶ける食物繊維をとれる食べ物があったかを、思い出してみましょう。例えば、私は日記に「焼肉、良い肉だが、気持ち悪い」と書いた日がありました。こうした短い記録があると、脂の多い食事の日を数える手がかりになります。ただし、食事のあとの気持ち悪さがくり返すときは、記録をつけるより先に、医療機関でお医者さんに相談してください。

取り入れるなら、例えば、朝にオートミールを1食とる、昼のごはんに押し麦を混ぜる、といった形があります。大麦(押し麦)は、ふつうに食べる1回分で、食物繊維が2〜3gとれる食べ物の1つです。

なお、持病などでお医者さんから食事の指示を受けている場合は、食べ物を増やしたり替えたりする前に、その指示を確かめ、それにしたがってください。また、おなかの調子で気になることがあるときは、様子を見続けずに、医療機関でお医者さんに相談してください。

食物繊維が大腸で腸内細菌にどう使われるのかは、食物繊維は腸内細菌のエサ?の記事で、自分の腸内細菌の顔ぶれを調べる検査の選び方は、腸内フローラ検査の選び方の記事でも説明していますので、ぜひご覧ください。

出典


この記事は、国や学会が公開している資料と、公開されている論文をもとに構成しました。数値と出典は一次資料と照らして確認しています。

診断や治療をするものではありません。
検査結果について気になることがあれば、検査を受けた医療機関か、かかりつけの医師にご相談ください。

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