鉄の吸収率|ヘム鉄と非ヘム鉄、ビタミンCが出てくる理由

鉄の吸収率 ── ヘム鉄と非ヘム鉄、ビタミンCが出てくる理由 栄養素の読み方

フェリチンが低めと言われて、鉄の多い食べ物を調べてみると、たいてい「ビタミンCも一緒に」と書かれていませんか?

鉄をとりたいのに、なぜ別の栄養素の名前が出てくるのか、不思議に思いますよね。

そこで、今回は食べた鉄が体に入るしくみについてお伝えしていきます。

この記事では、食べた鉄の量と体に入る鉄の量がなぜ違うのか、そして毎日の献立でどこを見ればよいのかを知ることができます。

鉄と鉄分は、同じものを指している

ふだん「鉄分」と呼んでいるものは、栄養の話でいう「鉄」のことで、同じものを指しています。体をつくるのに欠かせないミネラルの1つで、主に赤血球のヘモグロビンや、筋肉のミオグロビンの材料になっています。

体の中の鉄は、ふだんは体の外へ捨てられることなく、ためておかれて、くり返し使われます。ただし、月経や成長では鉄が失われるので、その分は腸からの吸収で補われています。食べ物からとる鉄は、この失った分を補う役目をしています。

ヘム鉄と非ヘム鉄、吸収率は3倍以上違う

国立健康・栄養研究所は、ヘム鉄は動物性食品に、非ヘム鉄は植物性食品に多く含まれると説明しています。そのうえで、日本人は主に植物性食品から鉄をとっており、非ヘム鉄をとる量が多いと考えられる、と書いています。

吸収率(食べた鉄のうち体に入る割合)の見積もりも出ています。日本鉄バイオサイエンス学会の診療指針では、ヘム鉄が50%、非ヘム鉄が15%と見積もられています。3倍以上の開きがあり、しかも日本の食卓で量が多いのは、吸収率の低いほうです。

鉄とビタミンCを一緒に、と言われるのはなぜですか?

ビタミンCには、非ヘム鉄の吸収を助ける働きがあるからです。

同じ診療指針は、非ヘム鉄の吸収を促す因子としてアスコルビン酸(ビタミンC)を挙げています。厚生労働省のe-ヘルスネットの説明も同じ向きで、動物性たんぱく質やビタミンCを一緒に摂ると吸収しやすくなる、とあります。もう1つ、ヘム鉄を含む食品をとることで非ヘム鉄の吸収もよくなる、とも書かれています。

数字の幅で言うとこうなります。厚生労働省のeJIMは、食肉・魚介類・ビタミンCを相当量含む混合食では鉄のバイオアベイラビリティが約14〜18%、ベジタリアン食では5〜12%だとしています。バイオアベイラビリティは、口に入れたもののうち体が実際に使える割合のこと。こちらはヘム鉄・非ヘム鉄と分けた数字ではなく、食事ひとまとまりとしての見積もりです。同じ量の鉄を食べても、献立によってこれだけ変わります。

鉄の吸収を下げる側の条件もある

吸収を妨げる側の成分も挙がっています。診療指針が並べているのは、フィチン酸、茶葉に多いポリフェノール、葉野菜やナッツに多いシュウ酸、カルシウム、リン。eJIMも、カルシウムは非ヘム鉄とヘム鉄の両方の利用のされやすさを下げる可能性がある、と書いています。

ここを「食べてはいけないものの一覧」に読み替えないでください。穀類も豆類もお茶も乳製品も、ふだんの食事そのものです。話しているのは1食の中の組み合わせであって、遠ざける食品ではありません。

鉄の吸収の条件は、健診の結果票に出ない

実は、吸収の条件までは見えません。血液検査には、ビタミンCの項目はふつう入っていませんし、フィチン酸やポリフェノールも測っていません。鉄がどれだけ入るかの条件は、結果票の外にあります。

結果票が示すのは、鉄が入ったあとの結果のほうです。eJIMは、血清フェリチン濃度が鉄欠乏症の診断でもっとも効率的で費用対効果の高い検査だとしています。ただし同じページには、フェリチンは感染症などによる炎症の影響を受けて上昇する、とも書かれています。結果の側の数字も、1つで決まるわけではありません。

献立は1食の組み合わせで、数字は並べて見る

やることは2つです。

  • 食事は、1食の組み合わせで見る。鉄を含む食品のとなりに、ビタミンCを含む食品が並んでいるかを見てみましょう。総量の足し算だけで考えないことが大切です
  • 数字は、並べて見る。フェリチン・血清鉄・ヘモグロビンのうち、載っている項目を、去年の結果票と並べて見比べてみましょう。1回の値だけでは、吸収の条件までさかのぼることはできません

ヘモグロビンが基準の中でも鉄の蓄えが減っていることがある話は、フェリチンとはでも説明していますので、ぜひご覧ください。なお、サプリメントや鉄剤を使うかどうかは、とりすぎにならないかという、量の問題が関わります。始める前に、検査を受けた医療機関で相談してください。病院でフェリチンを追加で頼みたい方へ。頼むこと自体はできます。健康保険が使えるかどうかの分かれ目は健康診断にない血液検査は病院で頼める?にまとめています。

出典(2026年10月確認)


この記事は、公的機関・学会・査読のある論文をもとに構成しました。下書きの作成にAIを使い、数値と出典は一次資料と照らして確認しています。

この記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療を目的としたものではありません。検査結果について気になることがあれば、検査を受けた医療機関か、かかりつけの医師にご相談ください。

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