カフェインの代謝が遅いと出たら?|遺伝子の型とコーヒーの時間

カフェインの代謝が遅いと出たら? ── 遺伝子の型とコーヒーの時間 遺伝子検査の読み方

遺伝子検査の結果を開いたら、「カフェインの代謝: 遅い」と書かれていて、どういう意味なのだろう、と手が止まったことはありませんか?

毎朝のコーヒーが楽しみな人ほど、「もう飲まないほうがいいの?」と気になってしまうものですよね。

そこで、今回は遺伝子検査で出る「カフェインの代謝」の結果についてお伝えしていきます。

この記事では、その結果が何の遺伝子の型を見ているのかと、自分のコーヒーの最後の1杯をいつにするかの決め方を知ることができます。

カフェインは、眠気を抑えたあと肝臓で分解される

私たちの体には、アデノシンという、神経の働きを落ち着かせる物質があります。農林水産省の説明では、カフェインはこのアデノシンと形が似ていて、アデノシンがくっつくはずの所にカフェインがくっつきます。そのため、落ち着かせる働きがじゃまされて、眠気が抑えられます。

体に入ったカフェインは、そのあと分解されていきます。分解には酵素が使われます。酵素とは、体の中で物質を別の物に変える働きをする、たんぱく質のことです。カフェインの分解を主に受け持っているのは、CYP1A2(シップワンエーツー)という、おもに肝臓にある酵素です。カフェインの遺伝の研究をまとめた論文(Southwardら 2018)では、カフェインの分解の90%以上を、このCYP1A2が担っているとされています。

「代謝が遅い」は、分解に時間がかかりやすい型

「代謝」とは、体の中で物質を分解したり作り変えたりすることです。カフェインの代謝が遅い、というのは、カフェインを分解するのに時間がかかりやすい、という意味になります。

CYP1A2の酵素の作り方は、CYP1A2の遺伝子に書かれています。この遺伝子の中には、研究でrs762551という番号で呼ばれている1か所があり、そこには人によって違う型があります。遺伝子は両親から1つずつ受け継ぐので、この1か所の型も、1人が2つずつ持っています。同じ論文では、この1か所の型が2つともAの人はカフェインの分解が速い人、Cを1つでも持つ人は分解が遅い人とされています。

遺伝子検査の「カフェインの代謝」の項目は、こうした遺伝子の型から、自分がカフェインの分解の速い人と遅い人の、どちらの型に当たるかを示す物です。遺伝子の型は生まれつきのもので、基本的に一生変わりません。ですので、いまの体の状態を測った結果とは異なります。

遺伝子検査の結果の、ほかの欄の読み方は、遺伝子検査の結果票はどこを見る?の記事でも説明していますので、ぜひご覧ください。

カフェインの効き方は、遺伝子の型だけでは決まらない

遺伝子の型だけでは決まりません。

同じ論文によると、CYP1A2の働きの強さは人によって大きく違い、遺伝子の型のほかに、たばこの煙や、ブロッコリーのようなアブラナ科の野菜を食べることなど、暮らしの中のことでも変わります。運動の成績についての物ですが、農林水産省のページで紹介されている国際スポーツ栄養学会の見解でも、カフェインの効果には、体への悪い影響と同じように個人差があり、それはカフェインの代謝や体と心の反応に関わる遺伝的な違いや、ふだんのカフェインのとり方などによる可能性がある、とされています。

また、カフェインの効き方には、分解の速さだけでなく、カフェインがくっつく所の違いも関わります。同じ論文で紹介されている研究では、アデノシンがくっつく所の遺伝子(ADORA2A)の型によって、カフェインをとったあとに自分で感じた不安の強まり方に違いがあった、とされています。

ですので、「代謝が遅い」という結果は、自分の体を知るための手がかりの1つとして受け止めましょう。

眠りのために、寝る前の6時間はカフェインを控える

カフェインで気になるのは、やはり夜の眠りへの影響ですよね。

米国で健康な大人12人を調べた研究(Drakeら 2013)では、カフェイン400mgを寝る6時間前にとったときでも、眠った時間が1時間以上短くなりました。400mgは、いれたコーヒーでおよそ670ml分にあたります。この研究は、寝る前の少なくとも6時間は、多くのカフェインをとらないようにするという考え方を裏づけるもの、とまとめられています。この研究は、遺伝子の型を分けて調べた物ではないので、だれにでも当てはまる目安として受け止めましょう。

厚生労働省の睡眠の指針(健康づくりのための睡眠ガイド2023)でも、夕方以降のカフェインは眠りの妨げになるので控えるよう書かれています。

カフェインの分解が遅いと出た人は、とったカフェインを分解し終えるまでに、時間がかかりやすくなります。そのため、6時間はいちばん少ない線と考えて、午後の1杯をいつ飲むかを、気にかけておくとよいでしょう。

健康な大人のカフェインの上限の目安は、1日400mg

農林水産省が各国の目安をまとめた表では、米国・欧州・英国が、健康な大人がとるカフェインの上限・目安を、1日400mgとしています。オーストラリアとニュージーランドでは、18歳以上で1日400mg、1回200mgとされています。

コーヒー(いれた物)のカフェインは、100mlあたり60mgです。

ただし、これは健康な大人全体に向けた目安で、遺伝子の型ごとの量は示されていません。農林水産省は、カフェインをとりすぎて神経が強く刺激されると、めまい、心拍数が増える、興奮、不安、震え、眠れないといったことが起こると説明しています。また、農林水産省が紹介している米国食品医薬品局の説明では、薬を飲んでいる方などは、カフェインの影響を受けやすくなる場合があるとされています。もし、薬を飲んでいる場合は、コーヒーの量や時間について、かかりつけのお医者さんに相談してください。

ふだん寝る時刻から、最後の1杯の時刻を決める

まずは、自分がふだん寝る時刻から少なくとも6時間さかのぼって、その日の「最後のカフェインの時刻」を決めてみましょう。例えば、夜11時に寝るなら、6時間前は夕方5時です。夕方以降は控えるという厚生労働省の指針もあわせると、最後の1杯は、夕方になる前の午後のうちにしておきましょう。

次に、その時刻より後にもコーヒーの味を楽しみたいときは、カフェインを抜いたコーヒー(デカフェ)も選択肢の1つです。

そのうえで、最後の1杯の時刻と、朝目覚めたときに休まった感じがあったかを、毎日、手帳やスマホのメモに書いて並べて見てみます。厚生労働省の睡眠の指針では、朝目覚めたときに感じる休まった感覚が、良い睡眠の目安とされています。

遺伝子検査キットで、ほかにどんなことが分かるのかを知りたい方は、遺伝子検査キットで何がわかる?の記事で説明していますので、こちらもあわせてご覧ください。

出典(2026年10月28日確認)


この記事は、公的機関・学会・査読のある論文をもとに構成しました。数値と出典は一次資料と照らして確認しています。

この記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療を目的としたものではありません。
検査結果について気になることがあれば、検査を受けた医療機関か、かかりつけの医師にご相談ください。

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