血液検査の結果に、TIBC、UIBCという見慣れない項目が並んでいて、戸惑ったことはありませんか?日本語では、総鉄結合能、不飽和鉄結合能と書かれます。
鉄の欄に並んでいるので、鉄の量のことかなと思いますよね。
そこで、今回はTIBCとUIBCという2つの項目についてお伝えしていきます。
この記事では、2つの項目が何を見ているのか、そして血清鉄と組み合わせてどう読めばよいのかを知ることができます。
TIBCは鉄を積める総量、UIBCは空き分
TIBCとUIBCが見ているのは、鉄そのものではなく、鉄を運ぶ側の様子です。
鉄は血液の中を裸で移動しません。トランスフェリンというタンパク質に載って運ばれます。このトランスフェリンが、鉄にとってのトラックにあたります。
トラックには積める上限があります。その上限の総量がTIBC(総鉄結合能)。いま実際に積まれている鉄の量が血清鉄。そして荷台の空き分がUIBC(不飽和鉄結合能)です。
理論上は、こういう関係になります。
- TIBC = 血清鉄 + UIBC
検査会社の説明でも、この関係が成り立つとされています。だから3つのうち2つが分かれば、残りは計算で出ます。結果票にTIBCとUIBCの両方が載っていないことがあるのは、このためです。
鉄が足りないと、TIBCは上がる
鉄が足りない状態では、TIBCは下がるのではなく上がります。体は足りない分を取りこぼさないよう、運搬の受け皿を増やす方向に動くからです。日本鉄バイオサイエンス学会の診断指針でも、TIBCは鉄欠乏において増加すると書かれています。
血清鉄だけを見ていると、この動きは見えません。鉄が減るのと同時に、鉄を載せる器のほうは増えています。この2つが逆の方向に動くところに、鉄が足りないときの特徴が出ます。
血清鉄とTIBCを割り算すると、はっきりする
そこで使われるのが、トランスフェリン飽和度(TSAT)です。計算式は指針にこう書かれています。
- TSAT = 血清鉄 ÷ TIBC × 100%
これは、トラックの何割が埋まっているかを表す数字です。日本鉄バイオサイエンス学会の診療指針(2024年版)では、正常値を25〜30%とし、16%以下なら鉄が足りない状態が疑われるとしています。TIBCの正常値は、おおよそ240〜400μg/dLです。2026年時点の検査会社の資料では、UIBCの基準値を男性140〜330μg/dL、女性150〜385μg/dLとしています。
血清鉄は、食事や時間帯で動きやすい数字です。血清鉄だけで読むと振り回されてしまいますが、割り算にすると、揺れが少しならされます。
鉄が足りなくても、TIBCが上がらないことがある
ただし、この項目にも読みにくいところがあります。
指針は、TIBCが栄養状態・加齢・炎症により低下すると注意しています。つまり、鉄が足りない人でも、これらが重なっているとTIBCは上がらないことがあります。上がるはずの数字が上がらないので、鉄が足りないことが見えにくくなります。
高値・低値の背景も1つではなく、数字が動いた理由は、この項目だけでは決まりません。
血液検査の鉄の項目は、3つを並べて読む
結果票を読むときは、次の3つを並べてみましょう。血清鉄(いま積まれている量)、TIBC(積める総量)、フェリチン(倉庫の在庫)です。この3つは、それぞれ見ている場所が異なります。1つだけで読むと、同じ数字が正反対の意味に見えてしまうこともあります。
フェリチンの線について、同じ診療指針は、学会の基準として12ng/mL未満を示し、あわせてWHOの15ng/mL未満と、30ng/mL未満を基準とする報告も紹介しています。フェリチンがヘモグロビンより先に減る話は、フェリチンとはでも説明していますので、ぜひご覧ください。
結果票に、フェリチンが載っていないことはよくあります。その場合は、TIBCとTSATが手がかりになります。ただし、炎症や加齢が関わると読み方が変わります。気になる数字があれば、結果票を持って、検査を受けた医療機関で相談してください。
病院でフェリチンを追加で頼めるか迷っている方へ。頼むこと自体はでき、健康保険が使えるかどうかは、医師が診療上必要と認めるかで決まります。分かれ目は健康診断にない血液検査は病院で頼める?にまとめています。
同じ結果票にある赤血球の大きさ(MCV)も、鉄が足りないと動きます。読み方はMCVとはで説明しています。
赤血球の項目のうち、計算で出るMCHとMCHCの2つは、MCHとMCHCの違いにまとめています。
出典(2026年10月確認)
この記事は、公的機関・学会・査読のある論文をもとに構成しました。下書きの作成にAIを使い、数値と出典は一次資料と照らして確認しています。
この記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療を目的としたものではありません。検査結果について気になることがあれば、検査を受けた医療機関か、かかりつけの医師にご相談ください。

