血液検査でビタミンB12を測ったら、基準範囲の中には入っていたけれど、下のほうの数字だった。そんな結果を見て、このままでよいのか気になったことはありませんか?
「基準の中」と書かれていても、下の端に近い数字を見ると、足りていないのではと心配になるもの。
そこで、今回はビタミンB12の基準値についてお伝えしていきます。
この記事では、ビタミンB12の基準値の境目がどう決まっているのかと、基準の中でも低めのときに、ほかにどんな項目を見るのかを知ることができます。お医者さんに何を相談すればよいかも分かります。
ビタミンB12は、葉酸と協力して働く栄養素
ビタミンB12は、水に溶けるビタミンの1つです。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、ビタミンB12と葉酸は、赤血球を作ることや、神経の細胞の働きを保つことに、協力して働くと説明されています。
国立健康・栄養研究所の資料では、ビタミンB12は微生物しか作ることができないため、植物性の食べ物にはほとんど含まれないとされています。しじみや、あさりの缶詰は、ビタミンB12を多く含む食べ物の例として挙げられています。
血液検査では、血液の液体の部分のB12の量を測る
血液検査では、血液の液体の部分(血清や血漿)に含まれる、ビタミンB12の量を測ります。
厚生労働省の「統合医療」情報発信サイト(eJIM)では、ビタミンB12が足りているかどうかは、ふつう、この血液のビタミンB12の値で調べると説明されています。
ビタミンB12の基準値の境目は、検査室ごとに違う
eJIMでは、ビタミンB12が「足りている」と「足りない」の境目は、測り方や検査室によって異なると説明されています。そのうえで、多くの検査室では、血液の値が200または250pg/mL(pmol/Lで書かれた結果票では148または185pmol/L)より低い物を、正常より下としているとされています。pg/mL(ピコグラム毎ミリリットル)は、血液1mLの中にどれだけあるかを表す、とても小さな量の単位です。
測る機械によって、基準範囲そのものがずれることもあります。イギリスの研究グループは、健康な大人300人の血液を、3つの会社の機械で測り比べました。その結果、1つの機械だけ、基準範囲の下の端が、ほかの2つよりはっきり低く出ました。研究グループは、検査室ごとに、その測り方に合った基準範囲を使うことが大切だと述べています。2023年に発表された研究です。
ですので、自分の値を見るときは、ほかの資料に載っている数字ではなく、自分の結果票に書かれている基準範囲と並べて見ましょう。
基準の中で低めなら、気にしたほうがいい?
eJIMでは、専門家の考えとして、血液のビタミンB12の値が150〜399pg/mL(111〜294pmol/L)の場合は、不足かどうかをはっきりさせるために、メチルマロン酸という別の項目を調べるべきだと紹介されています。
多くの検査室が正常より下とする境目は、200か250pg/mLでした。ですので、基準範囲の中に入っている値でも、専門家がメチルマロン酸もあわせて調べるよう勧めている、この150〜399の幅に入ることがあります。
メチルマロン酸は、ビタミンB12の働きにかかわる物質です。eJIMでは、ビタミンB12の状態をいちばん敏感に表す目印だと説明されています。ただし、腎臓の働きが落ちているときにも上がり、高齢の人では高めに出る傾向があるとも書かれています。
もう1つの目印が、ホモシステインという項目です。ビタミンB12が足りなくなると上がる項目ですが、葉酸が少ないときや、腎臓の働きが落ちているときにも上がるため、これだけでは決められないとされています。
結果票で、B12と一緒に見ておきたい項目
国立健康・栄養研究所の資料では、ビタミンB12の状態を見る方法として、血液のビタミンB12の値のほかに、貧血の検査、尿のメチルマロン酸、血液のホモシステインが挙げられています。
同じ結果票に、赤血球やヘモグロビン、赤血球の大きさを表すMCVなど、貧血の検査の項目があれば、あわせて見ておきましょう。ただし、貧血の項目が基準の中だったとしても、それだけでビタミンB12が足りていると決めずに、結果票をそのまま持って相談しましょう。
ビタミンB12が低めになりやすい人と、そのわけ
国立健康・栄養研究所の資料では、ビタミンB12が不足しやすい人として、厳しい菜食を続けている人、高齢の人など胃酸の出る量が少ない人、胃を切除した人、小腸での吸収がうまくいかない人が挙げられています。
食べる量が少ないことだけでなく、胃や腸で取り込む所にも理由があることが分かります。eJIMによると、食べ物の中のビタミンB12はたんぱく質と結びついていて、胃酸などの働きでそこから離されてから、取り込まれていくためです。
また、eJIMでは、胃酸を抑える薬など一部の薬も、ビタミンB12の取り込みを妨げることがあるとされているので、ふだん飲んでいる薬があれば、相談のときにお医者さんに伝えましょう。
低めだったら、まず結果票を持って相談する
体の様子に気になることが無くても、次の健診まで一人で様子を見るのではなく、まずは、結果票を持って、検査を受けた医療機関か、かかりつけのお医者さんに相談しましょう。その際、「基準の中だけれど低めなのが気になる。ほかの項目も調べたほうがよいか」と、聞きたいことをそのまま伝えて大丈夫です。メチルマロン酸やホモシステインを調べるかどうかは、お医者さんと話して決めてください。
もし、体の感覚がいつもと違う、疲れが続くなど、気になる体の様子があるときは、次の健診を待たずに、医療機関でお医者さんに診てもらってください。
あわせて、ふだんの食事に、ビタミンB12が多い肉や魚がどれくらい入っているかを見てみましょう。例えば、私のある日の夕食は回転ずしでした。店の名前だけを書いておくと、あとから見たときに、魚をどれくらい食べたかまでは分かりません。外で食べた日も、肉や魚を食べたかどうかまで書き出して、お医者さんに相談するときに結果票と一緒に持っていきましょう。
なお、すでにお医者さんから食事の指示を受けている場合は、食事を変える前に、その指示にしたがってください。
基準範囲がどうやって作られているかは健康診断の基準範囲とはの記事で、ビタミンB12がどんな食べ物に含まれるかはビタミンB12と菜食主義の記事で、胃での取り込みの流れはビタミンB12不足の原因は?の記事でお伝えしています。また、ホモシステインについてはホモシステインとはの記事、MCVについてはMCVとはの記事でも説明していますので、ぜひご覧ください。
なお、お医者さんへの相談とは別の話になりますが、ホモシステインの値にかかわる、葉酸を使える形に変える酵素の遺伝子(MTHFR)の型を調べたい方は、病院と郵送の違いをMTHFR検査はどこで受ける?の記事で比べていますので、ぜひこちらもご覧ください。
出典(2026年11月4日確認)
- ビタミンB12[サプリメント・ビタミン・ミネラル – 医療者](2025年6月19日更新)|「統合医療」情報発信サイト eJIM(厚生労働省)
- ビタミンB12(2020年11月5日更新)|「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)
- ビタミン|e-ヘルスネット(厚生労働省)
- Vitamin B12 reference intervals on Beckman, Roche and Siemens analytical platforms(Jassam N, et al. Ann Clin Biochem 60(6):417–422, 2023)
この記事は、国や学会が公開している資料と、公開されている論文をもとに構成しました。数値と出典は一次資料と照らして確認しています。
診断や治療をするものではありません。
検査結果について気になることがあれば、検査を受けた医療機関か、かかりつけの医師にご相談ください。

