血清亜鉛の基準値|下限が2つあり、採血の時間で動く理由

血清亜鉛の基準値 ── 下限が2つあり、採血の時間で動く理由 検査値の読み方

病院の血液検査で、血清亜鉛の値が基準の中に入っていた。それで足りていると読んでよいのか、迷うこともありますよね。

そこで、今回は血清亜鉛の基準値についてお伝えしていきます。この記事では、血清亜鉛の基準の下限の置き方と、採血した時間で値が動くことを知ることができます。

血清亜鉛の基準の下限は、59と80の2つ

日本臨床栄養学会の「亜鉛欠乏症の診療指針2018年版」は、この事情をそのまま書いています。国内の臨床検査機関では、血清亜鉛の基準下限値として59µg/dLが示されている。いっぽうで指針は、基準範囲を80〜130µg/dLとするのが適切だとしています。

下限は59と80の2つです。同じ「基準内」でも、どちらの物差しで書かれた紙かによって、たとえば70という値の立ち位置が変わります。59の物差しなら基準の中。80の物差しなら、基準の下です。

指針が下限を引き上げた理由も書かれています。血清亜鉛が60〜79µg/dLの範囲にある人にも亜鉛欠乏の症状が見られた、という国内の報告が根拠です。そこから指針は、60µg/dL未満を亜鉛欠乏、60〜80µg/dL未満を潜在性亜鉛欠乏と評価することを勧めています。ここから先、何をどうするかは医療機関で扱う話で、指針もその手順を書いた文書です。この指針は2024年版に改訂されていて、検査会社の案内も、2024年版の診断基準に沿って80〜130µg/dLを基準値として示しています。

血清亜鉛は、早朝の空腹時に測るのが望ましい

指針は、測るときの注意も並べています。血清亜鉛には日内変動があり、午前に高く、午後にかけて低くなる傾向がある。低下の幅は約20%と書かれています。食後にも下がる傾向がある。ストレスがかかっているときは、逆に高く出ます。

だから指針は、早朝空腹時に測るのが望ましい、としています。

採血したあとの扱いにも条件があります。遠心分離は採血後20分以内が望ましい。室温に置いたままにすると値は時間とともに高くなり、80分の放置で約1割高くなったという報告がある。2021年の医学検査に載った院内測定の報告も、全血のまま置くと血清亜鉛が偽の高値になるとして、同じ数字を引いています。

午後に採った値と、翌朝に空腹で採った値とでは、同じ人の同じ体でも、別の数字になることがあります。

肝機能の欄に、亜鉛の状態を映す項目があることも

亜鉛は、ALP(アルカリホスファターゼ)という酵素の材料になっています。指針は、この血清ALPも亜鉛の状態を映す指数のひとつで、亜鉛が欠けているときは低い値を示す、と書いています。

厚生労働省のe-ヘルスネットが載せている特定健康診査の項目に、亜鉛はありません。ALPのほうは肝機能の欄に並んでいることがあります。ただし、ALPの基準値は年齢で大きく違う。指針も、小児期、とくに思春期の成長期は成人に比べて著しく高いので、その年齢の基準と比べることが大事だと注意しています。低い側をどう読むかは、検査を受けた医療機関でお医者さんに聞いてみてください。

血清亜鉛の値は、下限と採血の時刻を確かめて読む

血清亜鉛の1行を読むときに要るのは、値そのものより、その値がどう作られたかのほうです。何を下限にした基準か。いつ採血したか。この2つが分からないと、基準内と書かれていても、そこから先へ進めません。

そもそも「基準の幅に入っている」が何を意味するかは、健康診断の基準範囲とはで説明しています。亜鉛はそこからもう一歩進んで、幅の引き方そのものが2つある項目です。

去年の紙が手元にあるなら、亜鉛の値と一緒に、採血の時刻が残っていないかを見てみてください。時間帯のそろっていない値どうしを並べても、増えた減ったの比較にはなりません。次に測る機会があるなら、前と同じ時間帯に合わせるほうが、並べたときに読めるものは多くなります。

測り直すかどうかは、体の様子に心当たりがあるかどうかで変わります。もし、心当たりがあるのなら、数字を1つ増やすより先に、医療機関でお医者さんに相談してみてください。

病院での頼み方は、健康診断にない血液検査は病院で頼める?でも説明していますので、ぜひご覧ください。

出典


この記事は、公的機関・学会・査読のある論文をもとに構成しました。下書きの作成にAIを使い、数値と出典は一次資料と照らして確認しています。

この記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療を目的としたものではありません。検査結果について気になることがあれば、検査を受けた医療機関か、かかりつけの医師にご相談ください。

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