妊娠を考え始めて葉酸(ビタミンB群の1つ)のことを調べると、「1日400μg」という数字がたくさん出てきませんか?でも、いつから始めて、いつまで続ければいいのかは、書いてある所によって言い方がばらばらで、分かりにくいものですよね。
そこで、今回は国が出している葉酸の指針についてお伝えしていきます。
この記事では、国の指針が示す葉酸の量と、とる時期の目安、ほかの数字との違いを知ることができます。
国の指針は、通常の食事に加えて1日400μg
国が出している葉酸の指針のもとになっているのは、2000年(平成12年)に、当時の厚生省が出した通知です。古い通知ですが、同じ内容は2026年9月時点でもe-ヘルスネット(厚生労働省)に載っています。
通知の中身は、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性は、通常の食事に加えて、サプリメントなどから1日400μgのプテロイルモノグルタミン酸型(サプリメントなどに使われる合成型)の葉酸を摂ることが望まれる、というものです。
目的は、胎児の神経管閉鎖障害という先天異常のリスクを下げることです。脳や脊椎のもとになる神経管が、うまく閉じないことで起こります。
「通常の食事に加えて」は、食事とは別枠という意味
「通常の食事に加えて」とされているのには理由があります。食品の葉酸は、そのままの形では吸収されません。体で利用される割合は、サプリメントの葉酸と比べて、およそ半分(50%)と食事摂取基準では扱われています。
食事から400μgを狙っても、同じ量は届きません。だから指針は、食事とは別枠で、サプリメントなどからの400μgを示しています。
とる時期は、およそ妊娠1か月以上前から3か月まで
e-ヘルスネットに載っている期間は、「およそ妊娠1か月以上前から妊娠3か月まで」です。
妊娠する月は前もって分かりません。だから指針は日付ではなく「計画している段階から」と書き、考え始めた時点が、そのまま始める時点になります。
前倒しなのは、神経管が閉じるのが妊娠のごく初期で、気づいたときには過ぎていることがあるためです。
妊娠1か月前を切っていても、指針の対象から外れるわけではありません。受胎後の早い段階の葉酸が重要なため、対象は「妊娠の可能性がある女性」と「妊娠初期の妊婦」にも広げられています。気づいた時点で、始めるかどうかを産婦人科のお医者さんに相談してください。
終わりが妊娠3か月なのは、400μgが神経管閉鎖障害のリスク低減に結びついた量だからです。それ以降の葉酸は、次に書く食事摂取基準のほうに、付加量という別の数字があります。
食事摂取基準の240μgは、400μgとは別の数字
別枠の400μgとは分けて、通常の推奨量もあります。日本人の食事摂取基準(2025年版)の葉酸の推奨量は18歳以上の男女ともに1日240μg。妊婦への付加量は中期・後期で1日+240μg、授乳婦は1日+100μgです。
ここまでに出てきた3つの数字(240μg・+240μg・400μg)は、対象も意味も違います。240μgと+240μgは、通常の食品からとる葉酸の量です。一方、別枠の400μgは、サプリメントなどの合成型の葉酸の量です。「1日400μgまで」とひとまとめに語られることがありますが、この言い方は3つの数字を混ぜています。なお、とりすぎを避けるための耐容上限量も、さらに別の数字として、通常の食品以外から摂る葉酸(合成型)について定められています。
生まれつきの遺伝子の型で、葉酸の量は変わらない
MTHFR(エムティーエイチエフアール)は、葉酸を体が使える形に変える酵素の名前です。この酵素の働きやすさには、生まれつきの遺伝子の型による個人差があります。
では、この型によって葉酸の量は変わるのでしょうか。答えは、変わりません。「この型だからサプリメントの量を変えるべき」という指針は、国からは出ていません。示されているのは型によらず、上に書いた400μgのほうです。
型を理由に、量を自己判断で変えるのは勧めません。
家にあるサプリの裏を見て、400μgの葉酸を1つに絞る
これらの数字のうち、いま妊娠を計画している段階の人が見るのは、別枠の400μgです。
- いま家にあるサプリの裏を見る。見るのは3つだけ——「葉酸」の字があるか、1日あたりが400μgか、原材料に「モノグルタミン酸」(正式な名前は「プテロイルモノグルタミン酸」)があるか。そろう製品を1つ残し、葉酸入りをいくつも重ねないようにしましょう。食品由来だけの表示は別枠の400μgに当たらないので、次に買うときに選び直します
- 食べ物の葉酸が体にどれだけ入るのかを知りたい人は、葉酸の吸収率で理由と数字を確かめられます
- 「MTHFRに変異があると葉酸が使えない」という話に当たった人へ。MTHFRの型を調べる検査が何を返し、何を返さないかは、MTHFRの型はどこでどう調べるかにまとめています。型によって、とる量の目安は変わりません(この先の記事には広告があります)
ビタミンB12が不足した状態で、サプリメントなどで葉酸だけを多く摂ると、B12不足の発見が遅れると指摘されています。サプリメントを続けるかどうかも含めて、この時期の栄養に迷うときは、産婦人科のお医者さんに相談してください。ここに書いた数字は一般的な指針で、個々の方への指示ではありません。
出典(2026年10月確認)
- 葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果|e-ヘルスネット(厚生労働省)
- 日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書|厚生労働省
- 妊産婦及び妊娠・出産に当たっての適正な栄養・食生活に関する調査研究|こども家庭庁
- 日本人女性の葉酸代謝関連酵素遺伝子多型と先天異常の発生予防効果に関する研究|厚生労働科学研究成果データベース
この記事は、公的機関・学会・査読のある論文をもとに構成しました。下書きの作成にAIを使い、数値と出典は一次資料と照らして確認しています。
この記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療を目的としたものではありません。検査結果について気になることがあれば、検査を受けた医療機関か、かかりつけの医師にご相談ください。

