久しぶりに実家で一緒にごはんを食べたとき、自分の親のお茶わんのごはんが前より少なくなっていて、「こんなに少なくて大丈夫かな」と気になったことはありませんか?
年をとると食が細くなるとはよく聞くものの、どこまでが年齢による自然な変化なのかは、分かりにくいものですよね。
そこで、今回は年齢で変わる、体が使うエネルギーとたんぱく質の目安についてお伝えしていきます。
この記事では、年をとると食べる量が減っていくしくみと、たんぱく質の目安が年齢でどう変わるのか、そして高齢の方の食事を見るには、どこを見ればよいのかを知ることができます。
体が使うエネルギーは、休んでいる分と動いた分
まず、最初にそもそも体が使うエネルギーって何?というお話をしていきます。
体は、横になって休んでいるときでも、臓器や筋肉などでエネルギーを使っています。長寿科学振興財団の解説では、心と体が落ち着いた状態で、生きていくために使われる最小限のエネルギーを、基礎代謝量と説明しています。
そこに、歩く・家事をするといった、体を動かした分が加わります。国の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、この基礎代謝量と、体をどれだけ動かしているかの度合い(身体活動レベル)をかけ合わせて、1日に要るエネルギーの目安(推定エネルギー必要量)を出しています。
年をとると、体が使うエネルギーは減っていく
厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」では、一般に、年をとるにつれて基礎代謝量は低くなると説明されています。その主な理由は、筋肉や臓器など、体の脂肪以外の部分の量が減っていくことです。
筋肉は、体の脂肪よりも、休んでいるときに多くのエネルギーを使います。ですので、筋肉の量が減ると、何もしていないときに使うエネルギーも少なくなります。ただし、それだけでは説明しきれず、臓器が同じ重さで比べて使うエネルギーが、年齢とともに下がることも理由と考えられています。さらに、体を動かす量が減ることなども重なって、1日に使うエネルギーの合計も、年齢とともに減っていきます。
例えば、e-ヘルスネットでは、体重70kgの男性の場合、基礎代謝量の目安は20歳代で1,680kcal、50歳代で1,505kcalとなり、1日におよそ175kcalの差になると紹介されています。親の年代の値は、次の国の表で見てみましょう。
食事摂取基準(2025年版)の推定エネルギー必要量も、年齢が上がると少なくなっています。ふだんの暮らしを自分で送っている人(身体活動レベル「ふつう」)の値は、次のとおりです。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 50〜64歳 | 2,650kcal | 1,950kcal |
| 65〜74歳 | 2,350kcal | 1,850kcal |
| 75歳以上 | 2,250kcal | 1,750kcal |
なお、自宅にいてほとんど外出しない人(身体活動レベル「低い」)では、75歳以上で男性1,850kcal、女性1,450kcalと、さらに少なくなります。また、これはエネルギーの目安で、食べ物の量ではありません。ですので、親が食べている量と、この数字をそのまま比べるためのものではありません。
体が使うエネルギーが減れば、1日に要る食事のエネルギーも少なくなります。
たんぱく質の推奨量は、65歳を過ぎてもほぼ同じ
では、たんぱく質はどうでしょうか。
たんぱく質は、筋肉や臓器など、体を形づくる材料になる栄養素です。長寿科学振興財団の解説では、たんぱく質はアミノ酸に分解されて吸収されたあと、体に必要なたんぱく質に作り直されるため、食事から続けてとることが欠かせないと説明されています。
食事摂取基準(2025年版)の、1日のたんぱく質の推奨量(同じ年代のほとんどの人にとって、これだけとれば足りるとされる量)は、次のとおりです。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18〜64歳 | 65g | 50g |
| 65歳以上(75歳以上も同じ) | 60g | 50g |
女性は、65歳を過ぎても50gのままです。男性も、65gから60gへの小さな変化にとどまります。これは、食事摂取基準が、体のたんぱく質を保つのに要る量を、体重1kgあたりではどの年齢でも男女とも同じ値として計算しているためです。男性の値が少し下がるのは、年代ごとに標準とする体重が違うためです。
一方で、先ほどのエネルギーの目安は、年齢とともにはっきり下がっていました。食べる全体の量は減るのに、たんぱく質の目安はほとんど変わりません。
また、たんぱく質は、体の材料になるだけでなく、エネルギーのもとにもなります。食事摂取基準では、1日にとるエネルギーのうち、たんぱく質からとる分の割合にも目標があり、その目標は年齢とともに上がっています。
| 年齢 | たんぱく質から得るエネルギーの割合の目標 |
|---|---|
| 18〜49歳 | 13〜20% |
| 50〜64歳 | 14〜20% |
| 65歳以上 | 15〜20% |
さらに、体が小さい人や、75歳以上で体を動かす量が大きく減った人は、1日に要るエネルギーそのものが少なくなります。そのため、上の割合の下の値でたんぱく質の量を計算すると、推奨量より少ない数字になることがあります。食事摂取基準では、その場合でも、推奨量以上をとることが望ましいとしています。
つまり、食べる量が少なくなる年代ほど、限られた食事の中に、たんぱく質の多いおかずがどれくらい入っているかが大事になってきます。長寿科学振興財団の解説でも、高齢になると肉や魚を食べる量が少なくなり、たんぱく質が足りなくなりがちだと説明されています。
もちろん、こうした国の値は、健康な人を広く対象にした目安です。同じ年齢でも、体の大きさや、ふだんどれだけ体を動かしているかで、一人ひとりに要る量は違ってきます。
親の食事は、全体の量とたんぱく質のおかずで見る
ある程度、お年を召した方の食事を見るときは、「全体の量」と「たんぱく質のおかず」の2つに分けて考えてみましょう。
全体の量
食事摂取基準では、エネルギーの過不足は、推定エネルギー必要量の数字ではなく、体重の変化で見ることがすすめられています。お茶わんのごはんの量を、表の数字と比べる必要はありません。もし、親の体重が減ってきていると分かったときは、かかりつけのお医者さんに相談するように声をかけてみましょう。
たんぱく質のおかず
国の「食事バランスガイド」では、たんぱく質のもとになる肉・魚・卵・大豆や大豆製品などを主な材料にした料理を「主菜」と呼んでいます。
例えば、私のある日の食事の記録は、昼が鶏むね肉100gとご飯200gのお弁当、同じ日のもう1回の食事がおにぎり2つと豚汁2杯でした。こうして書き出してみると、主菜に当たるのは、昼のお弁当の鶏むね肉だと分かります。豚汁にも豚肉が入っていますが、食事バランスガイドでは、いくつかの材料を合わせた料理は、入っている肉の量で主菜を数えます。記録には豚肉の量が無いので、豚汁を主菜に数えるかは、この記録だけでは決められません。
同じように、帰省したときや電話で話すときに、親のふだんの1日の食事を聞いて、どの食事に主菜が入っているかを書き出してみましょう。細かいグラム数を数える必要はなく、肉・魚・卵・大豆を使ったおかずが入っているかどうかを見るだけで大丈夫です。
なお、持病で治療を受けているときや、お医者さんから食事について指示を受けているときは、その指示が先になります。食事摂取基準も、病気の治療が目的のときは、その病気に合わせた食事の決まりを使うとしています。たんぱく質の量も、自己判断で増やしたり減らしたりせず、お医者さんに相談して、その指示にしたがってください。
年齢で変わる、健診の数字とビタミンB12の吸収
筋肉の量は、健診の血液検査の数字にも表れることがあります。腎臓の働きを見る数字の読み方は、eGFRの数字は筋肉の量で動くでも説明していますので、ぜひご覧ください。
年齢とともに体への入り方が変わる栄養素については、ビタミンB12が足りなくなる理由で、胃の働きとの関わりをお伝えしています。
出典(2026年10月確認)
- 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書の概要(厚生労働省)
- 日本人の食事摂取基準(2025年版)(厚生労働省)
- 加齢とエネルギー代謝|e-ヘルスネット(厚生労働省)
- たんぱく質・アミノ酸の働きと1日の摂取量|健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)
- 食事バランスガイドの料理区分(農林水産省)
- エネルギー消費量の測定|健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)
この記事は、公的機関・学会・査読のある論文をもとに構成しました。数値と出典は一次資料と照らして確認しています。
この記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療を目的としたものではありません。
検査結果について気になることがあれば、検査を受けた医療機関か、かかりつけの医師にご相談ください。

