遺伝子検査の「リスク1.5倍」はどう読む?|120人に1人が80人に1人

遺伝子検査の「リスク1.5倍」はどう読む? ── 120人に1人が80人に1人 遺伝子検査の読み方

遺伝子検査の販売ページで、「リスク1.5倍」という書き方を見かけたことはありませんか?数字は書いてあるのに、自分にとって大きい話なのか小さい話なのかが分からない。そのまま、買い物かごに入れた手が止まってしまうこともありますよね。

そこで、今回は遺伝子検査の「リスク◯倍」という数字の読み方についてお伝えしていきます。

この記事では、倍率が何と何を比べた数字なのかと、それを「何人に1人」に直して考える計算のやり方を知ることができます。

学会が言う「有用性の証明」は、受けたあとの話

消費者向けの遺伝学的検査について、日本人類遺伝学会はこう述べています。体質や発症のリスクの確率を示しているにすぎず、有用性が科学的に証明されているものは極めて少ない。

検査の有用性が証明された、というのは、結果を知ったことでその後の行動が変わり、実際に良い方向に向かった、という研究がある、という意味です。当たる当たらないの話ではなく、受けたあとの話をしています。

日本医学会のガイドライン(2022年3月改定)も、複数の遺伝子と環境が関わる病気では、遺伝的な要因が国や祖先の集団ごとに違うので解釈が変わる、と書いています。つまり、日本人を調べたデータから出した倍率かどうかで、読み方が変わります。

「1.5倍」は、2つの割合を割り算した答え

販売ページで「タイプ」や「型」と呼んでいるのは、遺伝子の並びの違いのことです。見本にある「◯倍」は、ある型を持つ人たちのうち発症した人の割合を、持たない人たちの同じ割合で割った数字です。日本疫学会の用語集では、これを相対危険と呼びます。割り算の答えなので、もとの割合は、この数字からは戻せません。

国の統計で直すと、120人に1人が80人に1人

もとの人数は、販売ページにはまず書かれていません。検査会社が使った元の数字を、こちらで復元することもできません。そこで、国の統計から自分用の目安を別に作ってみましょう。例として、がん全体の数でやってみます。

国立がん研究センターの「最新がん統計」に、2023年に新たにがんと診断された人は993,469人、と出ています。人口のおよそ1億2千万人を、この993,469で割ると120.8になります。つまり、1年あたり120人に1人です。

ここから、1.5倍を当てはめてみます。120という数は人数ではなく、「何人に1人」の分母です。起きる人が1.5倍に増えれば、分母のほうは1.5分の1に縮みます。だから、120を1.5で割ります。答えは80.5で、80人に1人です。

120人に1人が、80人に1人になる。これが「1.5倍」の中身です。どちらも1年あたりで、全年齢をならした数です。

販売ページの病名で、同じ計算を1回する

販売ページの見本にある病名で、同じ計算を1回やってみましょう。1億2千万を、その病名の人数で割ります。次に、出た数を倍率で割ります。電卓を2回たたくだけです。

  • がんの名前なら、国立がん研究センターの「最新がん統計」。部位ごとや年代別は、同じページ下部の集計表ダウンロードから進みます
  • それ以外の病名なら、厚生労働省の「患者調査」

どちらも表が多く、目当ての病名にたどり着けないこともあります。もし見つからないときは、がん全体の数字で、おおよその大きさをつかむだけでも十分です。

あわせて、販売ページの「参考文献」か「解析の対象」の欄を見てください。日本人のデータかどうかは、そこにしか書かれていません。もし書かれていなければ、日本人のデータかどうかは分からないもの、として受け止めておきましょう。

同じ検査を何度も受ける必要があるのかは、遺伝子検査は受け直しが必要?でも説明していますので、払う金額を考えるときにぜひご覧ください。

出典(2026年10月確認)


この記事は、公的機関・学会・査読のある論文をもとに構成しました。下書きの作成にAIを使い、数値と出典は一次資料と照らして確認しています。

この記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療を目的としたものではありません。検査結果について気になることがあれば、検査を受けた医療機関か、かかりつけの医師にご相談ください。

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