健康診断の結果票で、中性脂肪の行にだけ印が付いていたことはありませんか?食べ方も飲み方も去年と変えたつもりはないのに、なぜだろう、と気になってしまいますよね。
そこで、今回は中性脂肪の基準値についてお伝えしていきます。この記事では、中性脂肪の判定の線がなぜ1本ではないのかと、自分の結果をどちらの線で見ればよいのかを知ることができます。
中性脂肪は、食事のあとの採血で高くなる
まず、そもそも血液の中の中性脂肪がどこから来るのか、というお話をしていきます。血液の中の中性脂肪は、おもに2つの所からやってきます。1つは食事の脂で、小腸で吸収されたあと、「カイロミクロン」という脂を運ぶ粒に包まれて血液に入ります。もう1つは肝臓で作られる中性脂肪で、こちらは「VLDL」という別の粒に包まれて送り出されます。ですので、食事のあとの血ではカイロミクロンが増えて、中性脂肪の値が高くなります。そのため、食事から何時間空けて採血したかで、判定の線が変わります。
中性脂肪の判定の線は、空腹時150・随時175
日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」は、中性脂肪(トリグリセライド)が高い状態の線を2つ置いています。空腹時に採った血なら150 mg/dL以上、空腹時でなければ175 mg/dL以上です。
ここでいう「空腹時」は、同じ表の注に定義があります。基本的に10時間以上の絶食を空腹時とし、水やお茶などカロリーのない水分は飲んでかまわない。そして、空腹時であることが確認できない場合を「随時」とする、と書かれています。確認するのは検査を受ける側ではなく、判定する側です。問診票の絶食時間の欄が空いていれば、その血は175のほうの線で見られることになります。
基準範囲の上限は234なのに、150で引っかかるのはなぜ?
見ているものさしが違うからです。
日本臨床検査標準協議会(JCCLS)の共用基準範囲(2022年10月1日版)では、中性脂肪は男性40〜234 mg/dL、女性30〜117 mg/dLです。これは健康な人を6,345人集めて、その95%が入る幅を出したものです。採血の条件も決められていて、10時間以上絶食し、午前7〜10時に、20分以上座って休んでから採っています。
いっぽう学会の線は、将来の病気の起こりやすさから引いたものです。健康な人の散らばりを表した幅と、リスクが上がり始める地点は、別のものさしです。
中性脂肪しだいで、隣のLDLの出し方が変わる
LDLコレステロールの欄に「計算値」と書き添えてある結果票があります。その数字は測ったものではなく、ほかの項目から引き算で出したもので、引く側に中性脂肪が入っています。
同じガイドラインは、この計算(フリードワルド式)を使えるのは空腹時に採った血のときだけとし、中性脂肪が400 mg/dL以上のときや随時採血のときは、non-HDLコレステロールか直接測る方法に切り替えると書いています。
つまり、中性脂肪が多いときや、空腹時に採った血でないときは、隣のLDLコレステロールは出し方そのものが変わります。中性脂肪は、自分の行だけで完結する項目ではありません。
結果票から分かること、まだ分からないこと
結果票から分かるのは、どちらの線で判定されたかと、去年と同じ条件で比べられるかどうかです。
一方で、自分の数字が体にとって何を意味するのかは、この数字だけでは決まりません。気になるときは、健診を受けた医療機関で、お医者さんに結果を見てもらってください。
採血の前に、何時間空けたかを思い出す
今日は、結果票と、そのとき書いた問診票を出してみましょう。問診票には、前の食事から何時間空けたかを書く欄があったはずです。そこに何と書いたかを見てみます。去年の結果票と問診票も同じように見て、食事を抜いた時間がそろっているかを確かめましょう。もし、そろっていなければ、2つの数字はまだ同じ条件で比べられていません。
数字の意味を考えるより先に、まずは条件のほうをそろえましょう。健康診断の基準範囲がそもそも何を表しているのかは、健康診断の基準範囲とはという記事で説明していますので、こちらもぜひご覧ください。
採血した日ではなく、過去1〜2か月の平均を映す項目との比べ方は、HbA1cとはにまとめています。
出典(2026年10月確認)
- 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版 第2章|日本動脈硬化学会(表2-1 脂質異常症診断基準)
- 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版 第3章|日本動脈硬化学会(表3-2 リスク区分別脂質管理目標値と注)
- 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版|日本動脈硬化学会
- 日本における主要な臨床検査項目の共用基準範囲 ―解説と利用の手引き― 2022/10/01版|日本臨床検査標準協議会(JCCLS)基準範囲共用化委員会
- 低脂血症の診断と治療 2023年版(動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド)|日本動脈硬化学会
この記事は、公的機関・学会・査読のある論文をもとに構成しました。下書きの作成にAIを使い、数値と出典は一次資料と照らして確認しています。
この記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療を目的としたものではありません。検査結果について気になることがあれば、検査を受けた医療機関か、かかりつけの医師にご相談ください。

