酪酸産生菌とは?|腸内フローラ検査で少ないと出たときの見方

酪酸産生菌とは? ── 腸内フローラ検査で少ないと出たときの見方 検査値の読み方

腸内フローラ検査の結果を開いたら、「酪酸産生菌」という見慣れない欄に、判定の値より少なく出ていた。そんなとき、どういうことなのか気になりますよね。

初めて見る菌の名前に「少ない」と出ていると、何か悪いことが起きているのではと心配になるもの。

そこで、今回は腸内フローラ検査の結果に出てくる酪酸産生菌についてお伝えしていきます。

この記事では、酪酸産生菌がどんな菌なのか、結果の数字が何を表しているのか、そして次の検査までに食事で見直せることを知ることができます。

酪酸産生菌は、食物繊維から酪酸を作る菌の呼び名

まず、最初にそもそも酪酸とは何か、というお話をしていきます。

私たちが食べた物のうち、食物繊維は、小腸で消化されずに大腸まで届きます。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、大腸に届いた食物繊維は腸内細菌に分解されて使われ、そのときに酢酸・酪酸・プロピオン酸といった、小さなサイズの脂肪酸ができると説明されています。この小さな脂肪酸は、まとめて「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」と呼ばれています。

酪酸は、この短鎖脂肪酸の1つです。そして、食物繊維などから酪酸を作る腸内細菌を、まとめて「酪酸産生菌」と呼んでいます。「産生」は、作り出すという意味です。酪酸産生菌は1種類の菌の名前ではなく、酪酸を作るという働きでまとめた、いくつもの菌の呼び名です。

理化学研究所などの発表では、人の腸に住む腸内細菌が食物繊維などを発酵させて作った酪酸などの物質は、腸の粘膜でエネルギー源として使われるほか、腸が縮んで動く働きを高めていると説明されています。

結果の欄の数字は、腸内細菌全体のうちの割合

ここでは例として、腸内フローラ検査の会社が公開している、結果の見本を見ていきましょう。

この見本では、酪酸産生菌の欄に、フィーカリバクテリウム・アナエロスティペス・クロストリジウムという3つの菌の名前(属という、菌の分け方の名前)が並んでいます。結果は、酪酸産生菌が、今回見つかった腸内細菌全体のうちの何%にあたるかで示されています。

見本には、判定の値(良好)の欄と、前回・前々回の結果の欄もあります。この見本は男性の例で、判定の値には「男性の判定値」という注記が付いています。今回の結果は、この判定の値と並べて見るようになっています。

酪酸産生菌が「少ない」とは、どういうこと?

酪酸産生菌の結果の数字は、菌の数そのものではないため、同じ便の中でほかの菌が多く見つかれば、酪酸産生菌の割合は小さく出ます。

また、結果の見本の冒頭には、この検査は生活習慣を見直すためのもので、特定の病気の診断や治療に直結するものではない、と書かれています。判定の値より少ないという結果は、病気かどうかを決めるものではなく、判定の値と比べた位置を示したものになります。

1回の結果は便を採ったその日の記録であることや、判定が何と比べて出ているのかは、腸内フローラ検査の結果の見方の記事でも説明していますので、あわせてご覧ください。

食物繊維と酪酸、マウスと人で分かっていること

理化学研究所などの研究グループは、マウスに食物繊維の多い食事を与えると、食物繊維の少ない食事のマウスに比べて腸内細菌の活動が高まり、酪酸が多く作られていたと発表しています。これはマウスでの研究で、人で同じことが起きるかを確かめたものではありません。

人の食事について、e-ヘルスネットでは、日本人の成人がとっている食物繊維の量は、令和6年の国民健康・栄養調査で1日平均18.1gと紹介されています。国の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の目標量は、成人の男性で1日20g以上、女性で18g以上です。

食物繊維は、肉や魚にはほとんど含まれず、植物性の食品に多く含まれます。水に溶けない物(野菜や果物のセルロースなど)と、水に溶ける物(野菜や果物のペクチン、海藻のアルギン酸など)があり、どちらも食物繊維です。

次の検査までに、食物繊維の多い食べ物を見直す

まずは、ふだんの食事に、食物繊維の多い食べ物がどれくらい入っているかを見てみましょう。

e-ヘルスネットでは、次の食べ物には、ふつうに食べる1回分に、食物繊維が2〜3g含まれていると紹介されています。

  • 大麦(押し麦)、そば
  • さつまいも、さといも
  • 納豆、おから、いんげん豆、あずき
  • 切り干し大根、ごぼう、ブロッコリー、モロヘイヤ
  • しいたけ、ひじき、りんご

例えば、私のある日の朝食は、りんご3切れとプロテインドリンクでした。上の一覧と比べてみると、その日の朝、上にあげた食べ物で入っていたのは、りんごだけでした。

同じ資料では、取り入れ方として、1日のうち1食の主食を麦ごはんやそば、全粒小麦のパンにする、食塩に気を付けながら、みそ汁を野菜などの具だくさんにする、といったことが挙げられています。量は、まずは1日あたりプラス3〜4gを目安に、無理のない範囲でとるとよい、とされています。

なお、持病などでお医者さんから食事の指導を受けている場合は、食べ物を増やす前に、その指示にしたがってください。もし、気になる症状があるときは、検査の結果だけで判断せず、次の検査を待たずに、医療機関でお医者さんに診てもらってください。

次に検査を受けるときは、前回と比べられるように、同じ検査を選ぶのがおすすめです。病院と郵送の検査の違いや、選ぶときに見る所は、腸内フローラ検査の選び方の記事で比べています。また、腸内細菌の「多様性」の数字については、腸内フローラ検査の「多様性」は何の数字?の記事でも説明していますので、ぜひご覧ください。

出典(2026年10月30日確認)


この記事は、国や学会が公開している資料と、公開されている論文をもとに構成しました。数値と出典は一次資料と照らして確認しています。

診断や治療をするものではありません。
検査結果について気になることがあれば、検査を受けた医療機関か、かかりつけの医師にご相談ください。

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