MCHとMCHCの違い|高い・低いが計算で動く理由

MCHとMCHCの違い ── 高い・低いが計算で動く理由 検査値の読み方

血液検査の結果票で、MCVの隣に並んでいるMCHとMCHC。この数字が基準の範囲の下のほうにあって、気になったことはありませんか?

名前もよく似ていて、どう違うのかも分かりにくいものですよね。

そこで、今回はMCHとMCHCという2つの項目についてお伝えしていきます。

この記事では、2つの数字がどうやって出されているのか、そして数字が動いたときにどこを見ればよいのかを知ることができます。

MCHとMCHCは、測らずに割り算で出す数字

実は、この2つは測っていません。同じ表に載っているヘモグロビン・赤血球数・ヘマトクリットを割り算して出した数字です。だから値が動いたとき、理由はこの2つの外にあります。

MCV・MCH・MCHCは赤血球恒数と呼ばれ、どれも元の測定値から計算されます。検査機器の会社が公開している式は次のとおりです。

項目式単位
MCVヘマトクリット(%) × 10 ÷ 赤血球数(10⁶/μL)fL
MCHヘモグロビン(g/dL) × 10 ÷ 赤血球数(10⁶/μL)pg
MCHCヘモグロビン(g/dL) × 100 ÷ ヘマトクリット(%)g/dL

言葉にすると、MCHは赤血球1個が積んでいるヘモグロビンの量です。MCHCは、赤血球のかさに対して、ヘモグロビンがどれくらい詰まっているかを表します。

MCHとMCHCの違いは、割り算の分母

いちばんの違いは、割り算の分母です。

MCHは赤血球の個数で割った数字で、1個あたりいくらという見方をします。MCHCは赤血球の体積で割っていて、かさあたりの濃さを見ています。分子はどちらも同じヘモグロビンです。

この違いは、貧血の形の分け方に出ます。ベックマン・コールターが示している分類では、MCVは80以下・81〜100・101以上の3つに分かれるのに対し、MCHCが低い側へ振れているのは、いちばん小さい型の1つだけ。残る2つの型ではMCHCは真ん中の帯に置かれています。MCVとMCHは連れ立って動きやすく、MCHCはそれほど動きません。同じ「濃さ」の話に見えて、拾っているものが異なります。

MCH・MCHCの基準範囲は、男女で分けていない

日本臨床検査標準協議会(JCCLS)の共用基準範囲(2022年10月改定版)を並べると、分け方の違いが見えます。

測った3つは、男女で幅が分けてあります。

測った項目男性女性
赤血球数(10⁶/μL)4.35〜5.553.86〜4.92
ヘモグロビン(g/dL)13.7〜16.811.6〜14.8
ヘマトクリット(%)40.7〜50.135.1〜44.4

計算で出す3つには、男女の分けがありません。

計算した項目男女共通
MCV(fL)83.6〜98.2
MCH(pg)27.5〜33.2
MCHC(g/dL)31.7〜35.3

赤血球がいくつあるか、血の中にヘモグロビンがどれだけあるかは、男女で差がつきます。けれど、赤血球1個の中身には、そこまで差がつきません。2つの表は、同じ紙の上で別のことを言っています。

MCHCの高い・低いは、採血や測定の話のことも

成人でMCHCが高くなることはまれだ、とベックマン・コールターは書いています。理由は、赤血球の中のヘモグロビン濃度が、ほとんど飽和した状態にあるからです。そのため高い値が出たときは、体の変化よりも赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリットの測定の誤りが考えられる、としています。

低いほうにも似た事情があります。LSIメディエンスは、採血のときに抗凝固剤との混和が足りないと血液が固まり、測定できないか著しく低い値になると説明しています。

MCHCという数字は、体の話ではなく、採血や測定の話をしていることがあります。3つの中でいちばん幅が狭いのも、そのためです。

MCH・MCHCは、元の数字とセットで見る

やることは2つです。

  • 去年の紙を出す。MCH・MCHCだけでなく、ヘモグロビン・赤血球数・ヘマトクリットも一緒に並べる
  • 動いた元を探す。計算で出る数字が変わったなら、元の3つのどれかが変わっている

去年と今年で健診の場所が変わっているなら、基準範囲の欄も見比べておくと安心です。基準範囲そのものの成り立ちは、健康診断の基準範囲とはでも説明していますので、ぜひご覧ください。数字の意味が気になるときは、結果票を持って、検査を受けた医療機関やかかりつけのお医者さんに相談してください。

健診に無い項目を追加で調べたいときに、病院で頼めるか迷っている方へ。頼むこと自体はでき、健康保険が使えるかどうかは、医師が診療上必要と認めるかで決まります。分かれ目は健康診断にない血液検査は病院で頼める?にまとめています。

出典(2026年10月確認)


この記事は、公的機関・学会・査読のある論文をもとに構成しました。下書きと表の整理にはAIを使い、数値と出典は一次資料と照らして確認しています。

この記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療を目的としたものではありません。検査結果について気になることがあれば、検査を受けた医療機関か、かかりつけの医師にご相談ください。

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