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飲み会の翌朝、「ゆうべのお酒は、もう抜けているのかな」と気になったことはありませんか?次の日に早い予定がある日ほど、何時間たてば大丈夫なのか、はっきり知りたくなりますよね。
そこで、今回はアルコールの分解にかかる時間についてお伝えしていきます。
この記事では、体重から分解の時間を見積もる数え方と、その見積もりが人によってずれる理由を知ることができます。
お酒は、ほとんどが肝臓で2つの段階を経て分解される
飲んだお酒に含まれるアルコールは、胃にあるうちはゆっくりと吸収され、小腸に入るとすばやく吸収されます。そのあと血液に乗って全身を巡り、ほとんどは肝臓で分解されます。
肝臓での分解は、2つの段階に分かれています。
- 1段目: アルコールが、アセトアルデヒドという物質に変わる
- 2段目: アセトアルデヒドが、酢酸という物質に変わる
酢酸は、そのあと筋肉などでさらに分解され、最後は炭酸ガスと水になります。
それぞれの段階では、酵素が働いています。酵素とは、体の中で、ある物質を別の物質に変える働きをするものです。1段目で働くのがアルコール脱水素酵素で、ADH1Bはその仲間の1つの名前です。2段目で働くのがアルデヒド脱水素酵素で、ALDH2はその仲間の1つの名前です。
なお、汗をたくさんかいたり、水をたくさん飲んだりしても、アルコールが速く抜けるわけではありません。息や汗、尿から出ていくのはわずかな量で、分解のほとんどは肝臓で行われているからです。
分解の目安は、1時間に「体重×0.1g程度」
厚生労働省の情報サイトe-ヘルスネットでは、一般的に1時間で分解できるアルコールの量は「体重×0.1g程度」とされています。
ここでいうアルコールの量は、お酒そのものの量ではなく、お酒に含まれるアルコールの重さのことで、「純アルコールの量」と呼ばれます。厚生労働省のガイドラインでは、次の式で数えられると説明されています。
- 純アルコールの量(g)= お酒の量(ml)× アルコールの度数(%)÷ 100 × 0.8
例えば、5%のビール500mlなら、500 × 0.05 × 0.8 で、純アルコールは20gです。
この2つを組み合わせると、計算の上では、体重60kgの人が1時間に分解できるのは約6gになります。ビール500mlの20gなら、20 ÷ 6 で、3時間20分ほどという計算です。これはあくまで計算の上の数字で、実際にはこれより長くかかることも多くあります。
計算どおりにいかない、分解の速さを変える4つのこと
ただし、e-ヘルスネットでは、実際に分解される量は、この「体重×0.1g程度」という目安より少ないことも多い、と書かれています。分解の速さを変えるものが、いくつもあるためです。
1つ目は、血液の中のアルコールの濃さです。濃いときは速く分解され、薄くなるとゆっくり分解されることがあると説明されています。飲み終わりのころは速くても、抜けかけのころはゆっくりになることがある、ということです。
2つ目は、飲む習慣です。ふだんからお酒を飲んでいると、肝臓でアルコールを分解する別の酵素(CYP2E1)が増えて、分解が速くなるとされています。ただ、この酵素は数日飲まない日があると減り、1週間ほど飲まないと元に戻ってしまいます。ですので、同じ人でも、分解の速さは時期によって変わるのです。
3つ目は、性別と年齢です。アルコールは体の中の水分に広がります。女性は平均的に体重が軽く、体の水分の量が少ないため、男性と同じ量を飲むと、血液の中のアルコールが濃くなります。厚生労働省のガイドラインでは、女性は分解できるアルコールの量も男性より少ないとされています。また、高齢の人は、体の水分の量が減ることなどから、若いころと同じ量でも酔いやすくなるとされています。
4つ目は、生まれつきの遺伝子の型です。これについては、のちほどくわしくお伝えします。
e-ヘルスネットでは、遺伝子の型に加えて飲む習慣によっても分解の速さは大きく異なるため、お酒をよく飲む人の分解の速さは予測が難しい、とまとめられています。
ですので、この計算で出した時間を、お酒が抜けた時刻や、車を運転してよい時刻と考えないようにしてください。飲んだ次の朝でも、体にお酒が残っていることはあります。厚生労働省のガイドラインでも、酒気帯び運転は、法律で禁止されている飲酒の1つに挙げられています。
分解が遅いADH1Bの型は、日本人の5〜7%
1段目で働くADH1Bには、生まれつきの遺伝子の型の違いがあります。遺伝子の型とは、親から受け継いだ遺伝子の中で、人によって少しずつ違う部分のことです。
e-ヘルスネットによると、日本人の5〜7%は、アルコールの分解が遅いADH1Bの型を持っています。この型の人は、分解が速い型の人に比べて、肝臓での酵素の働きが5分の1から6分の1しかなかったと報告されています。そのため、たくさん飲んだ翌日も、アルコールが長い時間体に残り、お酒のにおいがすることが多いとされています。
ただし、20gほどのアルコールを飲む実験では、ADH1Bの型による分解の速さの差は見られなかったとも書かれています。これは型による差の話で、20gならだれでも早く抜ける、という意味ではありません。ある程度たくさん飲む習慣がついてから、型による違いが表に出てくるのだろう、と考えられています。
一方で、2段目で働くALDH2の働きの強さも、生まれつきの遺伝子によるものと言われています。ALDH2の働きが弱い型や無い型の人は、コップ1杯のビールで顔が赤くなり、比較的少ない量で二日酔いを起こすと説明されています。こちらは、アルコールが抜ける時間というより、途中でできるアセトアルデヒドを分解する力の違いです。
1段目と2段目の酵素の違いは、ADH1BとALDH2は何が違う?の記事で詳しくお伝えしています。
ADH1Bの型は、顔の色では分かりにくい
ALDH2の働きが弱いかどうかは、飲んで顔が赤くなるかを思い出したり、アルコールパッチテストをしたりすることで、おおよそは分かります。その方法については、アルコールパッチテストのやり方は?の記事でお伝えしています。
しかし、1段目のADH1Bの型は、顔の色ではなかなか分からないもの。分解が遅い型の人は、アセトアルデヒドがゆっくり作られるので、顔が赤くなるといった反応が起きにくいからです。そこで、今回ご紹介するのが「アルコール感受性遺伝子検査」です。
この検査では、ADH1BとALDH2の2つの遺伝子を調べ、体重からの計算では見えない、自分の生まれつきの遺伝子の型を知ることができます。分かるのは遺伝子の型で、自分が何時間でお酒を分解できるかの数字が分かるものではありません。
申し込むと、専用の綿棒の入った検査キットが届きます。水で2〜3回うがいをしてから、付属の綿棒で左右のほほの内側をそれぞれ10回ほどこすり、申込書と一緒に送り返します。飲んだり食べたりしたあとは、30分以上たってから採るよう案内されています。結果は、送り返した綿棒が届いてから約15営業日で、Webのレポートで見られるようになります。
なお、この検査の科学的な根拠や、同意書・レポートの見本は、申し込む前に公式の商品のページで見られるので安心です。
飲んでも顔が赤くならず、1段目のADH1Bの型に見当がつかないという方で、お酒を飲む機会がある方は、調べてみてはいかがでしょうか?
アルコール感受性遺伝子検査キット(Webレポート版)(お酒を飲む機会のある人が、ADH1BとALDH2の遺伝子の型を調べる郵送の検査)
料金: 6,127円(税込・送料無料。2026年11月2日確認)
この検査は、遺伝的な体質を見るためのもので、病気があるかどうかを診断するものではありません。未成年の方が受ける場合は、本人の意思の確認と、親権者の同意が必要です。もちろんですが、20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
厚生労働省のガイドラインでは、体質的にお酒を受け付けられない人は、ごく少量でも強い動悸や急に意識を失うといった反応が起こることがあり危険なため、飲酒を避けることが必要だとされています。同じガイドラインでは、自分の飲み方を知るために、お医者さんなどに相談することも挙げられています。かかりつけのお医者さんがいる場合は、飲酒について相談することも役に立つとされています。
抜けるのは早められないので、飲む前に量を決める
一度飲んだお酒が抜けるのを、あとから早めるのは難しいので、飲み始める前に、何をどれだけ飲むかを決めておきましょう。
例えば、ビール500mlを2本と決めたなら、純アルコールは40gです。体重60kgの人の計算では、6時間40分ほどかかる量になります。実際には、これより長くかかることも多くあります。ちなみに、日本酒1合には約20gのアルコールが含まれています。
飲むと決めた日は、厚生労働省のガイドラインにあるように、飲む前か飲みながら食事をとる、合間に水か炭酸水を飲む、といった飲み方を選んでみてください。水か炭酸水は、飲む量に占めるアルコールを減らすためのもので、お酒が抜けるのを早めるものではありません。
そして、次の日の朝に車を運転する予定があるなら、前の晩はお酒を飲まない日にすることを、先に考えておきましょう。
純アルコールの量と、国が示している飲み方の目安は、ALDH2とはの記事にまとめています。また、遺伝子の型を病院で調べるか郵送で調べるかを、手間と料金で比べたい方は、アルコール遺伝子検査はどこで受ける?の記事でも説明していますので、ぜひご覧ください。
出典(2026年11月2日確認)
- アルコールの吸収と分解(横山顕・2022年1月20日更新)|e-ヘルスネット(厚生労働省)
- 飲酒量の単位(樋口進・2022年12月23日更新)|e-ヘルスネット(厚生労働省)
- 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(2024年2月19日公表)|厚生労働省
- [[Webレポート] アルコール感受性遺伝子検査キット|ハーセリーズ・オンライン](https://www.herseries.co.jp/shopdetail/000000000004/)
この記事は、国や学会が公開している資料と、公開されている論文をもとに構成しました。数値と出典は一次資料と照らして確認しています。
診断や治療をするものではありません。
検査結果について気になることがあれば、検査を受けた医療機関か、かかりつけの医師にご相談ください。

